長年の知己である池澤ショーエンバウム直美さんの『グランマからの手紙』が完成した。 営業が見本を持って 書店をまわったところ、この本はどこの売り場に置けばいいだろうと、 何人もの店員に言われたという。 旅行案内書でも、絵本でもない。料理のレシピ本でもない。単なる家庭書でもない。 書かれている内容は奥が 深いので、やはりエッセイ本かということになったようだ。 書店員の言う通り、この本にはユートピアを求める著者の思いが込められている。 『グランマからの手紙』で祖母が孫へ語っているのは、 一人の人間が命の大切さを世界中の人々に訴えている言葉なのだ。 この本をつくるのにあたっては、プロジェクトチームをつくって著者を支えていく形をとった。 構成をどうす るか助言する。各国の料理を紹介するため、実際に池澤宅で料理をつくり、写真に撮っていく。 それぞれの章にあった挿し絵を描く。 これらのことを6人のメンバーで行なっている。もちろん著者である池澤さんの考えを大事にしながら。 5月の満月が ベビーを連れて来た 10ヶ月もの間 今の今まで 羊水という 小さな宇宙の 海のお魚だった子が 大きな宇宙の空気を 初めて小さな肺に吸い込んで ぬれたからだで 私たちの世界の仲間になった 上記のことばで始まるグランマの愛のメッセージは、以下のあとがきの一文に引き継がれている。 この池澤ワールドに心を打たれるのは私だけではないと思うが、どうだろうか。 2011年10月31日、世界の人口は70億人に達しました。 けれども、この地球に住むのは70億の人たちだけではありません。 陸上に650万種、海中には220万種の生物が住んでいるのです。 そしてその9割近くは、私たちにとっていまだに未知な存在です。 私たちは、たまたま人間として生命を授かっただけ。その「たまたま」に感謝をし、 他の870万種の生物たちのためにも、この地球を守っていかなければなりません。
11月は『関東の騒乱ー戦いの主人公達とその城館』『必ず結婚できる心の鍛え方』と2冊の新刊を出版した。 『関東の騒乱』を書かれた小林寔さんは、本業の司法書士の仕事のかたわら、日本全国の城下町を歩いてきた。近年は戦国時代の山城をもっぱら歩き、写真を撮りつづけている。 その中から相模、武蔵などの関東の十ヶ国を選んで、城館や城跡の風情を紹介したのが本書である。前半では戦国時代の関東の武将達や戦乱の模様を語っているので時代背景がよくわかるようになっている。 ハイキングを楽しみながら、戦国時代を思い浮かべて著者の訪ねたあとを追ってみたくなる、そんな一冊だと思う。 10月に出版した『素敵な恋のすすめかた』は女性が自らの経験から語ったものだが、『必ず結婚できる心の鍛え方』は男性のスピリチュアルカウンセラーによる本である。 著者の二階堂博司さんは易学士としてあらゆる鑑定方法を駆使して、幸せになる方法を指南してきた。今回は五根矯正法≠ナバランスの取れた心身を手に入れて、愛される結婚をするための方法を語っている。 占いに興味のある人はもちろん、人生を真面目に考え、生きていきたいという人にお薦めの本である。 ところで、9月に刊行した古谷圭一さんの『近代日本の戦争と教会―日本基督教団四谷教会史』が「週間読書人」の11月11日号に取り上げられた。立教大学名誉教授の鈴木範久氏の批評で、異色の教会史として、「日本のキリスト教はもちろん、日本の精神界に生きる人々にとり、今なお忘れてはならないものを呼び起こさせる一書である。」と記している。 牧師ではなく、科学者として大学で教鞭を執ってきた古谷圭一さん。四谷教会の一信徒として加わり、教会解散を体験したことから、記録を残したいと書いた本である。長年かけて跡地を何度も訪れ、資料を集めて書かれた労作である。
さんこう社としては、いままでにない形の本を出版しました。『素敵な恋のすすめかた』です。いわゆる女性向けの恋愛指南本ですが、本書は著者の経験を踏まえて、恋愛に悩む人の心が前向きになるよう語られています。 著者のカサブランカさんは、ホステスとして高級クラブで働いた後、20代の若さで、サパークラブやプールバーなどを経営します。23歳で結婚、長女を出産、離婚。現在はアメリカ人と再婚して、長女と3匹の愛犬とともにハワイ・オワフ島で暮らしています。24歳で開催したエステサロンが「技術のみならず、適切な恋愛アドバイスで幸せになれた」と話題になり、いつしかサロンは恋愛に悩む女性たちの恋愛駆け込み寺に。それから恋愛コンサルタントの仕事が始まりました。 カサブランカさんと、編集の打ち合わせで何回か会ったのですが、あるとき約束より早く行ったため、コンサルタントが終わっていませんでした。離れた席で見ていたのですが、マンツーマンで話す姿は友だちに語りかけるようで、温かい雰囲気を感じました。 おそらくカサブランカさんが女性に人気と信頼があるのは、飾らない姿だからでしょう。そんな彼女が書いた本は……やはり読んでもらうことが一番です。なお、カサブランカさんのブログは以下の通りです。 Hawaii発 カサブランカの How to enjoy Life http://ameblo.jp/cha0222/entry-10607749493.html
日本人の何人が「野原駒吉」という人を知っているだろう。 ルース・ベネディクトの『菊と刀』という本の中に 「日本人をひっかき、漆を削り落としてみると海賊が出てくる」と 野原駒吉の著作『日本の素顔』からの引用文がある。 『菊と刀』は戦後のベストセラーの一つなので、多くの日本人が読んでいるはずだが、 その中に一度だけ引用されている野原駒吉なる人物に着目した人はほとんどいないと思う。 もちろん、私も遠い昔に『菊と刀』を読んだのだが、 野原のことなど書かれていたことすら憶えていなかった。
ところが、『菊と刀』を読んで、日本人はもともと海賊だったと主張する根拠は何かと、 野原駒吉に注目した男がいる。 翻訳されてない『日本の素顔』を原書で読み、野原の思想を探ることから、 野原本人まで探っていったのである。その人は高橋輝好さんで、2前の2009年9月に 『日・独の闇に消えた男―「野原駒吉」探索ノート』という本を小社から出版した。 高橋さんの本を読めばわかるが、好奇心の強さは人一倍で、 謎ばかりの野原駒吉を見事なまでに追い求めている。 そんな高橋さんが今度は『黄禍論≠フ系譜―「野原駒吉」の世界(史)観』を出版した。 この本は野原のもう一つの著作『黄禍論』を精読し、 ドイツ人の血の入った「国際人・野原」が描いた1930年代の世界史像に迫っている。 昨年も『竜蛇神探訪―「もののふ」の系譜』を小社から出版しているので、 この3年間に年1冊のペースで書いていることになる。 今の時代、高橋さんのように知的好奇心に溢れた人に出会うと、 出版人のこちらもワクワクしてくる。 まずは「黄禍」とは? 読者も高橋さんと一緒に野原駒吉の世界を探訪してみてはいかがですか。
『黄禍論≠フ系譜―「野原駒吉」の世界(史)観』 定価1,575円(税込) 8月3日発売 『日・独の闇に消えた男―「野原駒吉」探索ノート』 定価1,890円(税込) 好評発売中 『竜蛇神探訪―「もののふ」の系譜』 定価1,050円(税込) 好評発売中